大学や研究所に相談してうまくすすめるために
あらたな事をするとき、基本的なことを教えてもらいたくなることがあります。
文献などで紹介されていることも現象としてどうなるのか分からない時などです。
そんな時は研究所や大学に教えてもらいに行くこともあるでしょう。
相談の方法などについてこれまでの経験をお話しようと思います。
はじめに大学や研究所の研究者が産学連携についてどのように考えているかおさえておきましょう。相談する時に頭の片隅においておくと良いと思います
研究者のニーズとしては下記があります
〇自らの研究の意義や今後の方向性が考えられる
(実社会での用途や使用環境などの生の情報が得られる)
〇新しい研究テーマであり、今後発展しながら継続できる
(継続して論文発表できる)
〇研究費が潤沢
〇研究結果が社会に役立った実績ができる
反対に拒否反応を示される例として
・大学や研究所のネームバリューを利用することだけ考えている
(自社のHPやカタログに掲載して「お墨付き」のようにする)
【相談先を探す】
相談したい内容の研究者を探します
・検索エンジン
KAKEN — 研究課題をさがす
researchmap
・学会の論文
【コンタクトする方法】
タイミングがあえば目星をつけた研究者の学会発表を聴講して名刺交換するのが早道です。研究者のHPがあればメールしたり、なければ大学や研究所の産学連携窓口にメールしてみます。
個人的には最初のコンタクトで門前払いされた経験はないので気軽に聞いてみましょう
【相談する内容について】
いくつかのケース別で考えますが、事前に勉強しておくことは必須です
実物をみたいとき、動かし方を聞きたいとき
実際に動作しているところを見たいと相談します。実験装置の見学は他の企業と共同で行っているもの以外であれば見せてもらえるはずです
理論的な考え方が合っているか聞きたいとき
こんな用途に使えますか?という抽象的な質問では話は進展しません。「Yes」か「No」で終わった話は先生方からよく聞きます。理想なのは自分なりに勉強して概算結果などを交えて具体的な例で質問するのがおすすめです。
継続的にアドバイスしてもらいたいとき
これも具体的になにをアドバイスして欲しいかを説明します。例えば下記ですが、事前に何も勉強していないと厳しいです
・理論計算のための式や物性値のアドバイス
・試験装置をつくるためのアドバイス
・試験方法についてのアドバイス
・現状の課題についてのアドバイス
一緒に開発して欲しいとき
同様に具体的な内容を説明します。この場合は冒頭でお話しした大学や研究所のニーズにあっているかが重要と思います。ただし他の企業とすでに契約している場合は難しいかもしれません。
【契約について】
各種の形態がありますので先方と相談してきめます。下にいくほど関係が深まります
契約前に自社の知財担当と考え方を相談しておく必要があります。「不実施補償」についてもめることが多いです。
・秘密保持
秘密を関係者外に漏らさないなどの規定
・学術指導
学術的にアドバイスしてもらう
・共同研究
共通のテーマについて役割分担して研究する
【費用について】
先方によって支払う費用は様々です。
年間で数十万円~数千万円まで様々なケースを聞きます。
先方のニーズに合致していて取り組みたいテーマなら低コストでできるかもしれません。
あくまでも私の経験ですが、共同研究で学生に研究してもらう場合は年間最低百万は必要でした。最高で数千万と言われたこともあります。
一方で共同研究でもアドバイスを主にした場合、先生一人で年間50万円程度でした。
【副産物】
一緒に進めることで知識と経験が得られて効率的に開発が進むこと以外に下記のメリットもあります
・大学や研究所が論文発表時に共著にしてもらえることがある
社名と名前が記載されます
・学会や講演会に参加しやすくなる
社内での出張理由を容易に説明できます
・国のプロジェクトに応募しやすくなる
国との関連が強いので新たなプロジェクトの情報が入りやすく、先生がバックにいてもらえると採択に通りやすい
・先生の知合いの他企業の研究者を紹介され情報を得られることもある