モノ作り企画~実証までの道のり

モノ作りを進めるステップを解説します

第22回 はじめての補機類選定(その1)

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RAEng_PublicationsによるPixabayからの画像

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装置を動かすための補助機器(補機)の選定をします。例えばポンプ(ウォータ、オイル、フュエルなど)、バルブ、熱交換器(ラジエータコンデンサエバポレータなど)、送風機などです。

 

 

 

1.装置を動作させるために必要な補機を考える

〇装置のフロー図を作成するf:id:tech-consul:20210824174905j:plain
〇フロー図に必要な補機と能力を記入します
 必要能力は「第2回 作りたいモノのイメージを確認する」で調べた使用条件や「第8回設計の準備」で計算した媒体の量を満足するようにします

 

2.主な補機類の選定
〇ポンプ
 ①非容積型
 ・遠心式ポンプ例
  遠心力で羽根車の主軸に垂直方向に吐出              
 ・プロペラ式
  遠心力で羽根車の主軸に同心方向に吐出
 ・摩擦式 ポンプ例
  羽根車内での渦により吐出
               
 ②容積型
 ・往復動ポンプ例
  ピストンなどの往復動で吸込・吐出       
 ・回転 ポンプ例
  歯車やローターを回転して吸込・吐出  
 選定目安
 ・目標流量での吐出圧力(ヘッド)が使用条件に合うか調べる
 ・設置時の吸込みヘッドがポンプの必要吸込みヘッドを満たすか調(キャビテーションを防ぐ)

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キャビテーション はポンプの吸込みヘッドが媒体の飽和圧力を下回ると発生します
キャビテーションにより送液不良などが発生するため回避するようにします

 

 私は目標流量時の装置内外の媒体の圧力損失を「第10回 形状を考える」のタイミングで計算しています。
 ポンプ選定時には計算した圧力損失に相当する揚程(ヘッド)以上の能力が得られるポンプを性能曲線で選びます(揚程は媒体の物性値から求めます)。
 キャビテーションを防ぐために、ポンプの吸込み圧力がポンプ性能曲線の必要吸込み揚程(NPSHr)を満たすように媒体供給の高さや圧力を決めています
 ポンプの種類は遠心式で漏れの心配が少ないマグネットポンプ
をよく使っていますが、装置の圧力損失が大きく遠心式で選択肢が無い場合は容積式を検討します。

〇弁(バルブ)
 多くの種類がありますが
主な形式をあげました
 ・玉形弁(グローブ弁)弁例 
  S字の流路中の弁座に上から弁体で開閉    
 ・仕切弁(ゲート弁)  弁例
  流れに垂直に上から板状の弁体で開閉
 ・ボール弁    弁例
  穴が開いた球体の弁を回して開閉           
 ・バタフライ弁   弁例
  円盤状の弁体を回転して開閉                                   
 開閉の駆動方法としては手動、電力、空気、油圧などがあります。
 選定目安
・目標流量時バルブ上流下流圧力差が許容値以下
目標流量時バルブ下流でキャビテーションしないか
・流す(ON)止める(OFF)のみなのか流量調整するのか
・駆動方式(手動か外部駆動)
・開閉時の操作性(早く開閉したいか否か)
・媒体が可燃性の場合、火災や爆発の点火源にならないか

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 バルブにも圧力損失があります。目標流量を流すために必要な圧力をバルブの容量係数Cv値から計算します。得られた圧力から計算する値とバルブ固有のキャビテーション係数Kcを比較し、キャビテーションを生じないようにします。
 個人的には手動で媒体をON-OFFする場合は操作性の良いボール弁を、流量調整をする場合は玉形弁を、外部駆動の場合は電磁弁をよく利用します。
 駆動方式は、バルブの個数が多く全てを同時に開閉したい時や個々のバルブの開閉のタイミングなどを制御したい場合に外部駆動を利用しています。また可燃性媒体などに電気駆動を使用する場合は防爆タイプを選定します。

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