第20回 初めての装置計測(センサの選定)
RAEng_PublicationsによるPixabayからの画像
製作した装置を評価して性能の確認や問題点を把握するためには、装置の状態を調べる必要があります。調べる対象は「第2回 作りたいモノのイメージを確認する」で調べた使用条件や「第8回 設計の準備」で設計計算で使った物理量(温度、圧力など)などになります。
1.装置内の調べ(計測する)たい状態量を整理する
〇調べる対象をリストアップする
〇装置と周辺機器、設備の関係をブロック図にします
〇ブロック図に必要な状態量を記入します
2.計測に必要なセンサーを選ぶ
状態を計測するためのセンサーを選びます。代表例として温度、圧力、流量センサについて説明します
〇温度
・熱電対 :温度や精度によって種類があります(比較的安価) センサの例
・測温抵抗体:高い精度が得られます センサの例
選定基準:温度域、精度、センサ価格、取扱い性
個人的には熱電対のTやKタイプを利用することが多いです。自由度が高く取扱いが容易なためΦ1のシース熱電対をよく利用しています。補償導線とコネクタもセットで利用すると熱電対を固定した装置からの着脱や計測準備が楽になります。装置にはコンプレッションフィッティングを用いて取付ければ熱電対取付穴からの漏れを抑えられます。対応する計測器に接続して計測します。
〇圧力
・圧力センサ:センシング方式で種類があります センサの例
選定基準:媒体種類、圧力域、精度、センサ価格、取扱い性
圧力の指示方式としてゲージ圧(大気圧が0)、絶対圧(完全真空が0)があります。測定対象の媒体が対応するか確認します。取扱いが容易なことからアンプ内蔵タイプをよく利用します。駆動電圧が直流の場合は別途、AC/DC電源を使用します。装置には静圧を測るために媒体の流れに直角にテーパネジで固定しています。アンプの電圧出力を計測します。
〇流量
超音波 :多種媒体に対応、圧力損失が小さい センサの例
電磁式 :導電性の液体に対応、圧力損失が小さい センサの例
渦式 :多種媒体に対応 センサの例
差圧式 :多種媒体に対応、低コスト センサの例
コリオリ :質量流量が測れる。 センサの例
容積式 :積算流量が計測できる センサの例
選定基準:媒体種類、流量域、精度、圧力損失、センサ価格、設置性
通常、個人的には液体は電磁式、気体は渦式を利用しています。高価になりますが、圧力損失を小さくしたい場合は超音波、質量流量や密度を知りたい場合はコリオリを利用しています。媒体の配管部に取付けるので配管径に応じた接続形状(フランジ、テーパネジなど)を選択します。駆動電圧が直流の場合は別途、AC/DC電源を使用します。アンプの電圧出力を計測します。