モノ作り企画~実証までの道のり

モノ作りを進めるステップを解説します

第24回 補機類選定(その3)

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RAEng_PublicationsによるPixabayからの画像

冷却や排気にもちいる送風機の選定をおこないます

〇送風機
 空気出入口の圧力差でよびかたが異なります
ファン:10kPa未満
ブロア:10~100kPa未満
圧縮機:100kPa以上

さらに気体の流れ方向で分類されます
効率、出口圧は、めやすです
①遠心式
遠心力で羽根車の主軸に垂直方向に吐出 
シロッコ
 低効率、出口圧力中 
ターボ
 高効率、出口圧力大 

②軸流式    
 遠心力で羽根車の主軸に同心方向に吐出
 
ダクトファン
 低効率、出口圧力中
有圧換気扇
 低効率、出口圧力低

送風機の選定をするために目標風量を装置に流したときの圧力損失を計算します。送風機の性能曲線を調べて目標風量での静圧が圧力損失をうわまわる送風機をえらびます。またサージングが生じて風量が不安定にならないように静圧が右あがり勾配の流量範囲では使用しないようにします。

図のように送風機に装置など空気がたまる容器が接続されていると、流量をへらしたときに容器内の圧力より送風機の静圧がさがり逆流が生じるなどの不安定な状態になります。

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私は容器内への送風は高圧力のターボを、コンパクトに広範囲の面へ送風するときは軸流式を選んでいます。

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PIRO4DによるPixabayからの画像

次回から試作した装置のテストをおこなうステップにはいります

第23回 はじめての補機類選定(その2)

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RAEng_PublicationsによるPixabayからの画像

前回にひきつづき装置を動かすための補助機器(補機)の選定で、今回は熱交換器、ヒーターについてです。熱交換器は例としてはラジエータコンデンサエバポレータなどが車に使われています。
〇熱交換器
 高温と低温の媒体をながし高温媒体を冷やしたり低温媒体を暖めたりします  
 シェル&チューブ式、プレート式などの種類があります。
①シェル&チューブ 形状例
  シェル(胴体)に多数のチューブ(伝熱管)をおさめた形状 

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②フィン&チューブ   

  伝熱管にフィンをとりつけた形状

②プレート     形状例
多数のプレートを間隔(すきま)をとって、かさね合わせた形状

選定項目
1.媒体の種類とくみあわせ(液体‐液体、液体‐気体、気体‐気体)
2.媒体にふくまれるゴミやよごれの有無
3.サイズ、コスト
4.媒体の温度

媒体が液体‐液体のケースは、ひかくてき小型低コストであるプレート式、ガス‐液体のケースはフィンチューブ式、ゴミやよごれが多いケースはシェル&チューブ式を私は使用しています。高温の媒体のケースでは材質をステンレスにすることも考えます。熱交換器のサイズは高温、低温媒体の種類やそれぞれの目標流量での入口温度、出口温度と圧力損失できめています。

〇加熱用ヒーター
 媒体や装置を加熱したり保温したいときはヒータをもちいます。
①液体
・インライン型  形状例
 液体の配管にくみこんで加熱できる    
・フランジ・ソケット型 形状例
 装置のフランジやソケットにとりつけ加熱できる
・投げこみ型   形状例
 装置のうえから投げこんで加熱できる

②気体
 上記の液体とおなじ型のヒータがあります。
・高温熱風発生  形状例
 600℃をこえる熱風をつくれる 

③金属など
 金属をあたためることで間接的に加熱する。
・カートリッジ型 形状例
 金属ブロックにさしこんで加熱
・巻きつけ型   形状例
 装置のかたちに沿うように巻きつけて加熱
・面型      形状例
 面にそわせて加熱
巻きつけるタイプのリボンヒータはおび状で自由度があり脱着しやすいため、装置や配管に巻き簡易的な試験するときによく用いています。液体投げ込み型も簡易試験などで一時的にもちいるときに利用しています。

ヒーター電力量の選定基準
〇あたためる対象を目標温度にたもてるか
〇対象を目標の時間内に目標温度まであげられるか
〇使用場所の電源、容量でつかえるか
なお使用にあたっては安全上の上限温度をこえたらヒータが自動でとまる、非常時にすぐとめられる停止スイッチをもうけるなどの安全対策が必要です。

第22回 はじめての補機類選定(その1)

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RAEng_PublicationsによるPixabayからの画像

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装置を動かすための補助機器(補機)の選定をします。例えばポンプ(ウォータ、オイル、フュエルなど)、バルブ、熱交換器(ラジエータコンデンサエバポレータなど)、送風機などです。

 

 

 

1.装置を動作させるために必要な補機を考える

〇装置のフロー図を作成するf:id:tech-consul:20210824174905j:plain
〇フロー図に必要な補機と能力を記入します
 必要能力は「第2回 作りたいモノのイメージを確認する」で調べた使用条件や「第8回設計の準備」で計算した媒体の量を満足するようにします

 

2.主な補機類の選定
〇ポンプ
 ①非容積型
 ・遠心式ポンプ例
  遠心力で羽根車の主軸に垂直方向に吐出              
 ・プロペラ式
  遠心力で羽根車の主軸に同心方向に吐出
 ・摩擦式 ポンプ例
  羽根車内での渦により吐出
               
 ②容積型
 ・往復動ポンプ例
  ピストンなどの往復動で吸込・吐出       
 ・回転 ポンプ例
  歯車やローターを回転して吸込・吐出  
 選定目安
 ・目標流量での吐出圧力(ヘッド)が使用条件に合うか調べる
 ・設置時の吸込みヘッドがポンプの必要吸込みヘッドを満たすか調(キャビテーションを防ぐ)

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キャビテーション はポンプの吸込みヘッドが媒体の飽和圧力を下回ると発生します
キャビテーションにより送液不良などが発生するため回避するようにします

 

 私は目標流量時の装置内外の媒体の圧力損失を「第10回 形状を考える」のタイミングで計算しています。
 ポンプ選定時には計算した圧力損失に相当する揚程(ヘッド)以上の能力が得られるポンプを性能曲線で選びます(揚程は媒体の物性値から求めます)。
 キャビテーションを防ぐために、ポンプの吸込み圧力がポンプ性能曲線の必要吸込み揚程(NPSHr)を満たすように媒体供給の高さや圧力を決めています
 ポンプの種類は遠心式で漏れの心配が少ないマグネットポンプ
をよく使っていますが、装置の圧力損失が大きく遠心式で選択肢が無い場合は容積式を検討します。

〇弁(バルブ)
 多くの種類がありますが
主な形式をあげました
 ・玉形弁(グローブ弁)弁例 
  S字の流路中の弁座に上から弁体で開閉    
 ・仕切弁(ゲート弁)  弁例
  流れに垂直に上から板状の弁体で開閉
 ・ボール弁    弁例
  穴が開いた球体の弁を回して開閉           
 ・バタフライ弁   弁例
  円盤状の弁体を回転して開閉                                   
 開閉の駆動方法としては手動、電力、空気、油圧などがあります。
 選定目安
・目標流量時バルブ上流下流圧力差が許容値以下
目標流量時バルブ下流でキャビテーションしないか
・流す(ON)止める(OFF)のみなのか流量調整するのか
・駆動方式(手動か外部駆動)
・開閉時の操作性(早く開閉したいか否か)
・媒体が可燃性の場合、火災や爆発の点火源にならないか

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 バルブにも圧力損失があります。目標流量を流すために必要な圧力をバルブの容量係数Cv値から計算します。得られた圧力から計算する値とバルブ固有のキャビテーション係数Kcを比較し、キャビテーションを生じないようにします。
 個人的には手動で媒体をON-OFFする場合は操作性の良いボール弁を、流量調整をする場合は玉形弁を、外部駆動の場合は電磁弁をよく利用します。
 駆動方式は、バルブの個数が多く全てを同時に開閉したい時や個々のバルブの開閉のタイミングなどを制御したい場合に外部駆動を利用しています。また可燃性媒体などに電気駆動を使用する場合は防爆タイプを選定します。

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WaldrebellによるPixabayからの画像

 

第21回 初めての装置計測(データ収集装置DAQの選定)

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StockSnapによるPixabayからの画像

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 装置の状態を調べる複数のセンサからのデータを収集するために必要になるデータ収集(DAQ)装置の導入を行います。

第2回 作りたいモノのイメージを確認する」で調べた目標能力
第8回 設計の準備」で考えたエネルギ量などの評価量を、
センサからの出力データ(物理量)を収集し計算して評価中に見ることができる環境を目指します

 評価中に現在の評価条件や目標に対する評価量などを把握することで、

評価を効率的に行うこと。評価中に評価条件をふるなどして装置の評価量の特性をその場で考えることが重要と思っています。

1.計測器の主な種類
〇.モジュールタイプ
 計測目的に合わせて選定したモジュールやスロットを組合わせるタイプ 
   ・スロットタイプ計測器例
   ・モジュールタイプ計測器例
 CPU搭載のモジュールを組合わせて計測制御できるタイプもあります 計測器例

〇コンピュータ接続
 PCIバスなどパソコンに内蔵するタイプ                                                 計測器例

2.計測器の選定
 下記の項目などを調べて選択します
 ・センサ出力   
 ・計測レンジ   
 ・チャネル数(データ計測数)
 ・測定周期(データを計測する時間周期)
 ・有線、無線
 ・計測データ処理ソフト
 ・計測器の外部制御
 コンピュータ接続タイプはデスクトップパソコンに計測ボードを取付ければ計測器になり、それ程高価ではないため、計測を行いはじめた頃によく使用していました。
 現在は40チャネル以上のセンサの計測をすることが多いため、モジュールが増設できるタイプで全チャネル測定の周期を1秒以下にできるモジュールを選択しています。熱電対の計測は内部で基準接点補償をする熱電対対応モジュールを選びます。
また、計測値から評価量や物理量を計算したいので、パソコンからコマンドを送信し計測器を制御できる計測器を選択しています。

3.計測器の導入方法
 新品  :計測器メーカに必要な仕様(計測対象、チャネル数)など相談します
 レンタル:レンタルメーカに仕様を満たす計測器を探してもらいます
 中古  :自分で中古品で目標仕様に合う装置を選びます

 計測器は安くはないので、予算が乏しい時にはレンタルメーカの中古をよく利用していました。短期に仕様する場合はレンタルを利用しています

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MartinelleによるPixabayからの画像

 

第20回 初めての装置計測(センサの選定)

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RAEng_PublicationsによるPixabayからの画像

 製作した装置を評価して性能の確認や問題点を把握するためには、装置の状態を調べる必要があります。調べる対象は「第2回 作りたいモノのイメージを確認する」で調べた使用条件や「第8回 設計の準備」で設計計算で使った物理量(温度、圧力など)などになります。

1.装置内の調べ(計測する)たい状態量を整理する

〇調べる対象をリストアップする装置ブロック図
〇装置と周辺機器、設備の関係をブロック図にします
〇ブロック図に必要な状態量を記入します

 

 2.計測に必要なセンサーを選ぶセンサー

状態を計測するためのセンサーを選びます。代表例として温度、圧力、流量センサについて説明します 

 

 

 

 

〇温度
  
  ・熱電対  :温度や精度によって種類があります(比較的安価)   センサの例
  ・測温抵抗体:高い精度が得られます                 センサの例

選定基準:温度域、精度、センサ価格、取扱い性

 個人的には熱電対のTやKタイプを利用することが多いです。自由度が高く取扱いが容易なためΦ1のシース熱電対をよく利用しています。補償導線コネクタもセットで利用すると熱電対を固定した装置からの着脱や計測準備が楽になります。装置にはコンプレッションフィッティングを用いて取付ければ熱電対取付穴からの漏れを抑えられます。対応する計測器に接続して計測します。

〇圧力
  ・圧力センサ:センシング方式で種類があります          センサの例

 選定基準:媒体種類、圧力域、精度、センサ価格、取扱い性

        圧力の指示方式としてゲージ圧(大気圧が0)、絶対圧(完全真空が0)があります。測定対象の媒体が対応するか確認します。取扱いが容易なことからアンプ内蔵タイプをよく利用します。駆動電圧が直流の場合は別途、AC/DC電源を使用します。装置には静圧を測るために媒体の流れに直角にテーパネジで固定しています。アンプの電圧出力を計測します。

〇流量
  超音波  :多種媒体に対応、圧力損失が小さい         センサの例
        電磁式  :導電性の液体に対応、圧力損失が小さい                            センサの例
  渦式   :多種媒体に対応                                                                       センサの例
  差圧式  :多種媒体に対応、低コスト                                                   センサの例
  コリオリ :質量流量が測れる。                     センサの例
  容積式  :積算流量が計測できる                                                           センサの例

選定基準:媒体種類、流量域、精度、圧力損失、センサ価格、設置性

 通常、個人的には液体は電磁式、気体は渦式を利用しています。高価になりますが、圧力損失を小さくしたい場合は超音波、質量流量や密度を知りたい場合はコリオリを利用しています。媒体の配管部に取付けるので配管径に応じた接続形状(フランジ、テーパネジなど)を選択します。駆動電圧が直流の場合は別途、AC/DC電源を使用します。アンプの電圧出力を計測します。

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アンモニア燃焼器ブロック図例

 

 

第19回 初めての評価設備導入

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Hiren LathiyaによるPixabayからの画像

  実験場が準備できたら、出来上がった装置を評価する時に必要な条件を整えるための設備の導入を考えます

〇使用条件の確認
 「第2回 作りたいモノのイメージを確認する」で調べた条件を確認します
    ・環境条件(温度、湿度、圧力など)

〇条件を整えるための設備を検討する
  方法:場所の管理者に実験場所(現場)でヒアリングする
     現場で打合せすれば周囲の設備環境なども把握できます
  内容:設備導入上の注意事項、導入の申請方法、依頼する業者など
     導入時の決まった手続きを教えて貰います
  選定:業者に相談し現場で導入可能で使用条件を満たせる設備を考えます
     温度調整設備例:
    ・チラー -------- 任意の温度の液体を循環する          装置例  
    ・恒温槽---------    雰囲気の温度、湿度を任意に保つ        装置例
    ・冷却塔--------- 屋外で冷却された水を循環する          
       ・電気ヒータ---     装置や媒体を加熱する                            装置例
    ・温風機---------    任意の温度の空気を供給する    装置例
     例えば現場に上水、井戸水、冷却塔などが無いと水冷チラーは導入できないなどの制約が生じます   

〇設備の導入検討
  複数のメーカで見積額、納期を調べ購入先を決めます
  方法:メール、電話などで問い合わせ
  内容:見積額、納期、工事内容など
  アウトプット:各メーカの比較表を作成。絞り込む

〇設備の導入
  導入の承認を得て発注、導入します。
  工事が必要な場合、周囲設備への影響を避けるため管理責任者に相談が必要です
   手順
      ・設備導入に対して承認者の許可を得る
      ・工事がある場合は管理責任者に相談し日程候補を決める
      ・メーカと日程を確定する
      ・必要であれば工事に立合う

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第18回 ゼロからの実験準備(場所選び)

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oohajoによるPixabayからの画像

今まで実験をしたことがなく、これから本格的に実験を始める場合は場所を確保する必要があります。社内或いは社外で場所を探す場合の目安です。

 1.インフラが揃っているか
  ・電源
    (経験上100V 50A x 2、200V 40A以上は欲しい)
  ・照明
  ・ネットワーク 
  ・上水
    装置や手の洗浄などに使用します
    配管が近くに通っていれば後で比較的容易に対応できます
  ・排水
    配管が近くに通っていれば後で比較的容易に対応できます
  ・空調機
    無ければ可動式のクーラーなど用意します
  ・(工業用水) 必要に応じ
    温度調節が必要な実験の場合などに使用します
    無い場合は冷却塔設備の導入など大掛かりな工事が必要になるかもしれません
  ・(空気 工場エア) 必要に応じ
    エア駆動の設備、装置がある場合に使用します
    無い場合は圧縮機などの設備が必要になります
  ・(換気装置) 必要に応じ
    排気など毒性や臭いのあるガスが発生する場合必須です
  ・(燃料ガス) 必要に応じ   

2.場所について
  ・広さ 3mx4m以上
   作業机、事務机を設置し通路1mを確保するならこの程度は欲しいです
  ・床:コンクリート
   重量で床が抜けず、装置などを床に固定できます(地震対策)
   階下がある場合、漏水の心配があるなら対策が必要です
  ・通路
    台車が通れる通路は装置の搬入搬出時に必要です

3.エレベーター(2F以上)
   重量のあるモノの搬入搬出時に無いと困ります

4.最低限の必要品
  ・作業台、椅子
    装置を分解組立し、その後設置して評価するために用います
  ・工具
  ・事務机、椅子
    パソコンや計測器を設置します
    準備や評価の状況は時間を掛けて見たいので椅子も必要です
  ・パソコン
    計測データを監視し、装置の状況を把握します 

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