第40回 装置を評価する
装置全体を評価するまえに設計時の計算を見なおしましょう
1.目標能力
2.動作条件
1.の能力をチェックするため設備や補機を
コントロールして
2.の動作条件をつくり評価します
評価のまえに内容や計画を考えます
(1)評価内容
・動作条件を整理する
(温度、圧力、流量、回転数など)
・各条件で目標以上、目標、目標以下など
パターンを3つは設定する
装置の特性をグラフにするためです
・すべてのパターンを表にする
下図の例は2つの流量条件ですので
9パターンになります
(2)スケジュール
評価内容をいつかのステップに分け
アウトプットを出していきたいです
【第1ステップ】は初歩的な評価とし
動作に問題があれば そのつど対策します
【第2ステップ以降】は条件をコントロール
する難易度のひくい順にします
休日をはさむと環境条件がかわることがあるので1ステップ1週間をめやすにします
ステップの最終日はデータ整理と考察をします
第39回 はじめての評価データモニタつくり(その3)
PC上にデータロガーの計測データや計算した評価量を表示します
第33回のデータロガー通信&計測と、第37回の画像表示の考え方をまとめ、計測データの時間変化を表示するグラフを作ります
手順は下のようになります
①Xサーバ接続、ウィンドウを表示する
②データロガーとの通信設定する
③現在の時間とデータを取得し、座標(X,Y)値とする
④1スキャン前の時間、データ座標(X0,Y0)と座標(X,Y)の線をひく
⑤現在の時間データを1スキャン前のデータとして保持する
⑥③へもどり連続して線をひく
グラフの横軸最大を評価時間の長さにすれば、評価中のデータの時間変化を確認できます
わたしは最大時間を1時間くらいにしてデータの変化をみやすくしています。評価中にグラフの最大時間をこえたら現在の時間を0としてグラフを書きなおしています
なおデータスキャン毎にファイル(CSV)に書き出し全データを保存しています
第38回 はじめての評価データモニタつくり(その2)
第37回に引きつづきで今回は線をひく手順です
前回生成したウィンドウからのつづきです
〇色、線幅などの情報変数をセット
色、太さなどの情報を記録するGC(グラフィックコンテキスト)をセットします
直前の描画情報はここに記録されます。
〇ピクセル座標を計算する
ウィンドウに最大300秒、最大温度100℃のグラフを描くケースをかんがえます
ウィンドウ座標の原点(0,0)最大点(300,100)をピクセル座標の(950,510)、(1910,10)に描くことにします
上図のように線のスタートウィンドウ座標(Xst,Yst)=(130,60)、エンドウィンドウ座標(Xed,Yed)=(250,80)としてそれぞれピクセル座標に変換します
〇座標変換のルーチン化
変換計算は描画のたびにおこなうのでウィンドウ座標からピクセル座標へ変換する関数をつくっておくと便利です。
上図はウィンドウ座標(X,Y)をピクセル座標(Xp,Yp)に変換する例です
次回は計測データを表示していきます
第37回 はじめての評価データモニターつくり
前回はデータの表示について説明しました
今回プログラムによる表示方法についてです
第33回でおはなしたLINUXのX Window Systemをつかって画像表示する例です。
X Window Sysytemについて
Xサーバーにクライアントから描画要求してディスプレイに描画するシステムです。
サーバー、クライアントについては理解しにくいですが、GUI環境をつかっていればサーバーは動作しているので、Xlibの関数をつかってプログラムします
1台のPCでつかうこともできますし、実験場からはなれたPCからネットワークで実験データをモニタすることもできます(ホスト0からホスト1に表示など)
ディスプレイについて
解像度1920x1080の場合、横1920縦1080の格子点(ピクセル)に色を表示して描画しています。
グラフなど描くときはどの位置(座標)のピクセルに表示するかをプログラムします
画面左上、右下の座標はそれぞれ(0,0)、(1919,1079)です
プログラムについて
つぎのようなステップでプログラムします
〇Xサーバーへ接続
〇ウィンドーを生成して表示
x,yなどはピクセルの位置です
〇ピクセル座標を計算する
ウィンドウに最大300秒、最大温度100℃のグラフを描くなどしたいときはピクセル座標に変換します
ウィンドウを下のように生成した場合について考えます
計測時間250秒のとき80℃の値を点として描くためにウィンドウの座標(250,80)をピクセル座標に変換してみます
座標を変換する係数dx、dyとウィンドウ座標(0,0)のピクセル座標から計算します
図のようにウィンドウの(250,80)の点は(ピクセル座標1750,110)になります
つづきの点や線の描画は次回に紹介できたらとおもいます
第36回 評価データをモニターする
これまでにデータロガーで時々刻々の計測値をよみとれるようにしました(第32回)
ここでは評価中に装置の出力など目標とするデータの状況をチェックしやすくすることをかんがえます
①装置のどの部分のデータかわかりやすい
得られた情報と装置内の位置が直感的にわかるようにします
②評価量を計算する計測値がチェックできる
温度、圧力、流量など評価量を
計算するデータが正常かがわかります
③時間変化がチェックできる
・データの時間変化をみて
安定か不安定か判断できます
・評価条件を変化させたときの装置のクセがわかります
④評価量の目標とする値がわかる
目標値が表示されていれば達成レベルがわかります
⑤自分(達)でメンテできる
評価中のトラブルなどの対応が
すぐおこなえるようになります
〇表示のサンプル
第20回で作った図にデータを表示しています
データはxx、yy、zzとします目標とする下の評価量は赤字にしています
・燃焼器の燃焼量
・排ガス中のNOx成分が規制値以下
・排ガス中アンモニア成分が規制値以下
〇表示のサンプル
データの時間変化を表示しています
現時点よりもまえのデータは表示し経緯がわかるように描画してます
評価値の目標ラインをえがいて
今の状況がわかるようにしています
令和4年
あけましておめでとうございます
私が失敗から得たモノ作りのやりかたが、よくもわるくも見本になればうれしいなと思いながら進めていきます
第35回 はじめての動作チェック(設備)
装置をうごかすための設備を安全チェックしながら作動します
設備をうごかす前
1.安全担当者と設備の安全を確認します
フェイルセーフが機能するかなど
2.装置を動作させた時におこりえる
安全上で最悪のケースをイメージします
・フロー図をみながら全員でかんがえます
(たとえば装置のシール部から
高温のオイルがもれ火災になるなど)
3.異常時の対応を関係者全員で確認します
異常をみつけたら、どう対応するかを相談しておきます
(たとえば装置シール部は
センサやカメラでオイル流出をカンシする
センサ指示値xx以上、カメラで液もれがみえたら異常とする
異常時はポンプの非常停止ボタンをおすなど)
4.担当者のやくわり分担をします
全体を指揮する、補機をうごかす、設備をうごかす、異常を監視して停止する者など参加者のやくわりをしっかりきめておきます
また参加者は実施している状況を指揮者につたえるようにしておきます
役割のない人も1名は準備し、だれかが困ったときに手助けできるようにします
指揮者は異常の判断、そのときの対応、誰に指示するのかをじゅうぶん把握しておく必要がありますし全責任をおわなければなりません
設備をうごかす(装置は機能させない)
4.装置補機をうごかす
ポンプや送風機、バルブなどの補機をうごかします
ただし装置を本格的に動作はさせません
(温度変化、反応、給電などさせない)
5.設備をうごかす
設備を動作させて異常な状況にないか参加者全員でチェックします。
6.動作をチェックする
各部にとりつけたセンサの指示値が装置の作動条件になるかをデータロガーで確認します
本年はありがとうございました。皆様に☆を頂いたり、読者になって頂いたおかげでモチベーションを保ち続けることができました。
感謝いたします。
令和4年もひきつづきよろしくお願いします
第34回 はじめての動作チェック
装置のセッティングは第27~32回でおわっているとして、装置の動作チェックをおこないます。いきなり装置全体をうごかさないで少しずつ確認します
1.使用する媒体配管をチェックする
液体の場合では装置に入れる前に
ポンプの吸込配管中にエアが溜りそうな部分がないかしらべます
下図のように鳥居や下り勾配は修正します
(流量不安定やポンプ破損をふせぎます)
ポンプ吐出側に鳥居があるならエアを抜くバルブをつけます
(吸込側は圧力が低くバルブつけても抜けません)
下のようにエアがたまれば自動で抜いてくれるバルブもあります
2.液体や気体などの媒体を封入します
3.補機(ポンプ、ブロア、バルブなど)動作チェックする
・補機をうごかして液体や気体などが目標とする使用条件になるかチェックします
下図の例をチェックしてみます
(1)電磁弁を閉
(2)流量調整弁の開度を小
(3)ポンプ電源ON
(4)ポンプ作動しているか(音、振動など)
(5)バイパス回路に流れているか
(音、振動などでチェック)
(6)電磁弁を開
(7)流量計の出力電流チェック
データロガーで計測
(8)流量計の出力電流から流量を換算
(9)流量が目標最小値になっているか
(10)流量調整弁の開度を開き全開にする
(11)流量が調整したい最大になるか
補機を動作して目標条件がつくれない場合
すぐに補機の交換を考えないで原因をしらべます
原因がわからないと別の補機を選ぶのにも困ってしまいます
上の例ではポンプ、バルブ、配管のどれが悪いのかを特定します
バルブを外してみる、ポンプのみにしてみる、配管を変更してみる
などをおこない原因をしぼりこんでいきます
あきらめず粘り強くおこないます
うまくいかずに様々なトライをしていると
同じことを繰り返してしまうことがあります
(私の場合)
チェック表を作って、やったこと、結果を記入しています