モノ作り企画~実証までの道のり

モノ作りを進めるステップを解説します

第6回 課題の対策を調査する

新しく作るモノの課題が生じる理屈を調べました。要因を調べ改善するための方向性も見えてきたので具体的な対策を考えます。効率的に進めるために、ここでも過去行われてきた対策実施例を調べ応用できないか考えます。

 

〇調査先:工学専門書、省庁の過去から現在までの公開資料、論文など

〇方法: 図書館などで文献調査、作るモノキーワードで検索

〇着目点:これまでに調べた要因に対する実施例

〇調査結果:実施例の方式

 

課題の要因に着目して調べると、工学専門書では過去の基礎的な方法、省庁などの公開資料で比較的新しい方法が、何故考えられたかわかるようになると思います。第5回で作成したツリーの改善方法の項目から分岐させて追記します。

 

ネットで検索調査することが多いですが、過去の専門書などは図書館で気分を変えて行うのも良いです。一般に開放されている大学の図書館もあります。

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出典:https://pixabay.com/

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第5回  課題をまとめ、報告する

 今回まで、依頼されたモノを作る上でのハードルの高さ、対策するべき課題について考えました。ここで、これまで調査した課題と要因をまとめます。今後、要因に対する方策をアイデア出しする時にも利用できますし、依頼主への途中経過のアウトプットとなります。.この資料で調査状況を説明して次のステップに進むための承諾を得ます。

〇形式:ツリー形式

〇方法:課題を左側、要因を右側に、複数の場合は分岐して記載する。

 

次回から課題に対する対策を考える手順に移ります。事例では具体的な方策を考えたいと思います。さらに次のステップで具体的に実際のモノ作りの検討手順に入っていきます。

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第4回 課題を理解し考える

調査した課題について、なぜそうなるのか基礎的な理論にまで遡って調べ、その本質を理解します。

〇調査先 :関連技術専門書、工学専門科目、工学基礎科目の教科書など

〇方法  :課題の現象が理論的にどう表されるのかを念頭に調べる

〇調査結果:理論式、実験式、経験式など

 調査した技術についての専門の書籍があれば概略を読んで理論や用語を理解します。無い場合は類似の技術に関する書籍を探します。さらに力学、工学の専門科目、必要であれば自然科学まで調べます。最終的に課題の現象を表す式(理論式、実験式、経験式)などを探し、課題の要因(物理量など)を調べ、これらがどうなれば改善できるのかを考えます。

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第3回 課題を調査する

  作りたいモノのイメージや、要求される能力が分かったら、実現するために解決すべき課題は何かを検討します。根本的な課題まで考え理解することが、問題の本質を掴んで抜本的な対策を行う上で重要と考えています。検討手順は以下のようにしています。

①原理的に可能かを調べる

 似通った過去の事例が全く無い場合は、原理原則に従うのか調べる必要があると思いますが、モノ作りのステップに進むにはハードルが高いかもしれません。

②過去の事例を調べる

 〇調査先:書籍、省庁の過去から現在までの公開資料、学術論文

 〇方法:作るモノのキーワードと省庁名を組み合わせて検索 

過去に実施例がある場合は課題が明らかになっていることが多いです。

専門書(図書館或いはネット)など教科書に記載されている構造など、利用できそうな基本技術をチェックします。古い年代の専門書の方がより基礎的なことから詳細に解説されていることが多いのでお勧めです。

チェックした技術について、国の技術開発プロジェクトの報告書などで関連する技術を調べます。様々な企業や大学が協力して新しいモノ作りから実証まで行い、基本的に内容は公開されるので実際の状況が分かります。さらに必要であればプロジェクトの成果である論文を読みます。

以上で基礎技術をさらに発展させた研究の結果や得られた課題、問題の現象まで把握します。

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*1「アンモニアが“燃料”になる?!」

*2「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」

*3「SIPの終了報告書」

 



 

第2回 作りたいモノのイメージを確認する

作りたいモノのイメージ、具体的な要望を掴む

依頼者の欲しいモノについて具体的にヒアリングします。どんな環境で使用し、どの程度の大きさ重さにしたいのか、必要な能力を聞きます。その他の要望事項があれば教えて貰います。

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①依頼者のイメージ

 何が出来るモノにしたいか?(どんな機能を持たせたいのか?)

②使う時の条件

 環境条件(季節、温度、湿度、圧力など)、場所など。

 具体的に数値が欲しいので依頼者に情報が無ければ、相談して仮決定します。

 また、規格などがあれば見せてもらいます。

 今後、計算による検討をするために必要になります。

③希望の能力

 目標能力(熱量、流量、温度、圧力など)。

 具体的に数値が決まっていなければ依頼者と相談して仮決定します。

 今後、大きさなど計算するために必要です。

④要望事項

 特に必要になる点や機能。大きさ、重さ、耐久など。設計アイデア検討時に制約条件として設定します。

⑤同機能の既製品

 情報があれば教えて貰います。既製品に対して優位にしたいポイントがあれば聞きます。

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第1回 背景の確認


1.背景の調査

こんなモノが欲しいというニーズに答えるために、ニーズが出てきた背景は知っておきたいです。直接的な要望への対応ばかり考えていると、考えたモノが背景にマッチせず本末転倒の結果にならないためです。

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①先方へのヒアリング

〇キーワード(用語、機関名)をメモ

詳しく教えてくれるとは限りません。ナゼ必要なのか?ナゼ今なのか?ざっくりした背景でも良いので教えて貰います。何度も出てくるキーワード(用語、機関名)などをメモリます。

②自分で調べる

〇調査先:省庁の公開資料、論文、大学の公開資料、専門書籍など

〇方法:キーワードを幾つか組み合わせて検索

ヒアリングで得たキーワードをもとにネットで調査します。調査先は信頼性が高い程良いです。まずはキーワードで検索して関連の情報を調べますが、一度の検索でキーワードを組み合わせた方が、関連する情報により早くたどり着けるようです。 

背景は遡ると国(省庁)の方針に繋がっていることがあります。

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